オーダメイドペット服Sakura の モデル犬さくらちゃんと、野良猫わらび君のお母さんであるToyoは、現在タイ・バンコクに住んでいます。
タイは、本当に心豊かな人々が住むおだやかな国であり、人々は犬や猫と共存して生きています。
そんな中、私がタイに来てすぐに出会ったのが、私の住むアパートがあるエリアで、地域犬としてみんなから可愛がられていた1匹のメスのワンちゃんです。
ちょうど、桜🌸ちゃんを飼い始めた時だったので、この子には「梅ちゃん」という名前をつけました。
そんなに体は大きくなく、ミニ柴くらいの大きさです。
かなりのおばあちゃん犬で、ゆっくり、ゆっくりとしか歩けません。
でも、性格はおだやかで、とても大人しい子です。
梅ちゃんと仲良くなったのは、ある日、道路の隅っこで寝ていた梅ちゃんの足を、車が轢いて行ったのを目撃したのです。
幸い骨は折れておらず、打撲で済みましたが、梅ちゃんはしばらく足を引きずって歩いておりました。
梅ちゃんは、移動範囲がとても狭くて、朝から夕方までは近くの屋台のおばちゃんが仕事をしているそばでずっと寝ています。
そして、夜になり屋台のおばちゃんが帰ると、そこから50m離れたアパートの前のバイクタクシー乗り場に移動して、バイクタクシーの兄ちゃん達のそばでずっと寝ていました。
とにかく、いつも人のそばで寝ている子であり、いつもいろんな人に餌をもらっていました。
ところが、足を怪我してからは、歩くのが辛いのか、屋台のおばちゃんが帰った後も、バイクタクシーの兄ちゃん達のところまで移動しないで、その場で寝ていました。
いつも誰かのそばに居た子なので、寂しくないのかな~と思い、頭を撫でにいったところ、とても人懐っこくて甘えて来てくれました。
餌は、屋台のおばちゃんにたくさんもらっているので、あまり欲しがりませんでしたが、頭を撫でられるのはしっぽを振って喜んでくれました。
そんなことから、私は屋台のおばちゃんが帰って、梅ちゃんがひとりになると、毎日、梅ちゃんの頭をナデナデしに行っていたところ、すっかり仲良しになってしまいました。
そのため、足が良くなって歩けるようになった梅ちゃんは、私のアパートの駐車場で、毎日、私の帰りを待ってくれるようになりました。
そして、私がナデナデしてあげてから、バイクタクシーの乗り場へと移動するようになったのです。
そして、私がいつも「梅ちゃん」と呼ぶので、自分につけられた名前だとわかったようで、梅ちゃんと呼ぶといつも反応してくれるようになりました。
梅ちゃんと私との、そんな日々は2年ほど続きました。
ところが、屋台のおばちゃんが立ち退きになり、昼間の梅ちゃんの居場所がなくなってしまいました。
そのため、梅ちゃんは、ずっとバイクタクシーの乗り場にいるようになりました。
私のアパートは、おばちゃんの屋台があった場所と、バイクタクシーの乗り場との間にあったので、梅ちゃんはいつも移動の途中に、私の帰りをアパートの前で待ってくれていたのですが、昼間もバイクタクシーの乗り場にいるようになってからは、アパートのところまで来てくれる回数が減りました。
時々、私の方から、梅ちゃんの様子を見に行っておりましたが、大好きだった屋台のおばちゃんと離れたせいなのか、日ごと元気がなくなってきているように見えました。
そして、ある日・・・・通勤前に、フラフラと歩く梅ちゃんを見かけました。
「梅ちゃん」と呼んでも、いつものように反応しません。
とても心配になりましたが、私も仕事があるので、梅ちゃんのそばから立ち去りました。
帰って来てから、梅ちゃんを探しましたが、バイクタクシーの乗り場にもいないし、ますます心配になりました。
そして、その日の朝5時頃、私は「虫知らせ」とでも言うのでしょうか?
なぜか目が覚めて、梅ちゃんのことがとても気になりました。
すぐに、梅ちゃんがいないか探しに行ったところ、隣のアパートの水飲み場で、動けなくなっている梅ちゃんを見つけました。
水を飲みたかったのか、少し段差がある水飲み場に上がったみたいなのですが、そのまま下りれなくなっていました。
梅ちゃんを抱きかかえて、道路に下ろしてあげたのですが、足取りがフラフラです。
捕獲して病院に連れて行った方がいいか悩みましたが、フラフラながらもタクシーの乗り場へと戻って行き横になったので、餌だけあげて少し様子を見ることにしました。
でもあげた 梅ちゃんが大好きなドックフードは全く食べようとしませんでした。
梅ちゃんのことが気になりながらも、当時、バンコクの病院に勤めていた私は仕事を休むわけにはいかず、その日も出勤しました。
この日は、仕事が終わると飛んで帰ってきたのですが、バイクタクシーの乗り場の少し先で、人だまりができていました。
嫌な予感がして、かけつけると・・・・・
梅ちゃんがドロドロになって、道路の隅に虫の息で倒れており、屋台のおばちゃんが駆けつけていました。
「バイクタクシーの運転手さんが、この子が死にそうになって倒れているとわざわざ教えてに来てくれたの」
ということで、もう一人、屋台のお客さんで、とても梅ちゃんを可愛がっていた女の人も駆けつけていました。
それで、私と、屋台のおばちゃん、お友達の3人で梅ちゃんを、そのお友達が住む近くのアパートの駐車場まで運びました。
私はすぐに桜のバスタオルを取りに行って、それを梅ちゃんにかけてあげました。
梅ちゃんは、もうほとんど意識がなくて、もう死ぬのを待つ状態でした。
おばちゃん達と病院に連れて行こうかどうか相談しましたが、
「もうかなりのおばあちゃんなので、病院に連れて行っても助かるかどうかわからないし、静かに看取ってあげましょう」
ということになりました。
そんなことから、その後、3人で時間交代で梅ちゃんのそばに居て、梅ちゃんの体をナデナデしてあげました。
すると、ほとんど意識のなかった梅ちゃんが、急に眼を開けたので、私は水が欲しいのかもしれないと思い、自分の手に水を汲んで梅ちゃんの口にもっていったところ、おいしそうにゴクリと飲み干しました。
そして、すぐにまた意識がなくなり、その後静かに逝ってしまいました。
屋台のおばちゃん達のかけつけてくれ、梅ちゃんを葬ることにしました。
次々と、バイクタクシーの兄ちゃん達が駆けつけて、梅ちゃんに手を合わせていきました。
梅ちゃんは、みんなに愛されていたことが良くわかりました。
この後、さくらちゃんのバスタオルに梅ちゃんを包み、近くの中国寺院があった廃墟跡に梅ちゃんを埋めました。
一気に寂しさがこみあげてきました。
本当に可愛い子だったな〰。
今でも、時々、梅ちゃんの姿を探してしまいます。